tc electronicの2016年新モデル4機種をさっそく試奏してみました!

先月のNAMM2016特集でもご紹介させて頂いたtc electronicの2016年新モデル4機種。
2月10日(水)の発売開始を前に、ひと足早く実機を試奏させて頂きました!

Bonafide Buffer

Bonafide Buffer 1
ツマミ類が全くないプラグアンドゴータイプのバッファー。
電源を抜くと自動的にトゥルーバイパス状態に切り替わるので、不意に電源が抜けてしまっても音が出なくなってしまう事はありません。
ギターとアンプの間に音痩せの有名例である旧型のVOX V847ワウペダルを接続して試してみたのですが、Bonafide Bufferを使用すると「音の曇りがなくなり、本来の立体感が顔を出す」といった具合で非常に自然でした。
Bonafide Bufferを使用しない場合に同じくらいの音抜けを確保しようとすると、アンプ側のイコライザーでトレブルやプレゼンスなどを上げ気味に設定せざるを得なくなり、結果的に高音域にクセのあるサウンドになりがちですが、Bonafide Bufferを使用しクリアなサウンドを維持することで、アンプ側での音作りの自由度を広くとることができます。
単一チャンネルのアンプはもちろん、多チャンネルのアンプやメモリータイプのプリアンプなど複数のEQパートを持つアンプを使用する際にも、高音域周りの細かな設定を何度もやり直す必要がなくなり、手間を省けます。
「バッファーなんてあってもなくてもどうせたいして変わらないんでしょ?どうせブースター挟めば同じことでしょ?」と考えられがちですが、ブースターでは補えない音作りの要素もあるということをBonafide Bufferは証明してくれます。
この「色付けは無い。ただ明確に違いは出る」というBonafide Bufferのスゴさはtc Electronicの紹介動画でもご覧いただけます。
100mのシールドケーブルを通した場合、という現実にはまずあり得ない条件設定ではありますが、たとえばギターからトゥルーバイパスのエフェクターをひとつ挟んでアンプに送るという経路の中で5mのシールドケーブルを2本使用していれば10m少々にはなってしまいます。
単純計算できることではありませんが100m分の10パーセントくらいは音質劣化が起こっている可能性があることはご想像頂けると思います。
音作りに拘りがあると自認する方ならば、ご自身のセットアップの中で音質劣化が起きていると分かっているのに見逃すわけにはいかないはず。
ぜひBonafide Bufferで「本来の音」を取り戻して頂きたいと思います!

 

SPECTRA COMP

SPECTRA COMP 1
ワンノブなのにマルチバンド、という一見しただけではどう使うの?と当惑させられるベース用コンプレッサー。
その秘密はTC自慢のTone Printにありました。
Tone Printを起動しながらSPECTRA COMPのノブを回していくと非常に分かりやすいのですが、各帯域のピークポイントとコンプレッションの掛かり具合を複数のポイントに渡って連続可変させる処理を行っているのです。
簡単に言うと、複数の数値の上げ下げをひとつのノブが担当している、ということです。
通常のエフェクターであればノブを時計回りに回せば掛かりが強くなり、反時計回りに回せば掛かりが弱くなる、という感覚で操作していくところですが、Tone Printでの設定次第ではその常識的な操作感は覆ってしまいます。
予め用意されているTone Printの設定はベース向けにファインチューンされていますが、 基本的なコンプレッサーとしての機能は先にリリースされたHyperGravity Compressorを基にしているので、宅録の際にギターにちょっと掛けてみるというような使い方も充分に可能です。
プリセットを基にかんたんに良い音を作りたい、というビギナーの方にも、あくまで自分の耳を頼りに音作りをツメていく、という玄人志向の方にも楽しめる、懐広く奥深い一台。
色々な意味で常識を変えるコンプレッサーが登場した、という感じがしました。

Ditto X4 Looper

Ditto X4 1
ひとつの筺体にDitto Looperを2台組み込み、更にFX機能やMIDI機能などを充実させたX4バージョン。
これまでの機種よりも大きな筺体になった分だけスイッチ類が充実し「リズムが何よりも重要なルーパープレイなのにスイッチの長押し操作を要する」というコントロール性のジレンマを解消できたのは大きいですね。
また、Loop1とLoop2でそれぞれ全く異なる長さのループを作って同時に再生することもできるので、これまでのようにベーシックなリズムを刻む為だけに何小節分も地味なループフレーズを長々と弾かなければいけない、というような「いまループ仕込んでます…」的な状況から逃れられるのも嬉しいポイントです。
複数のループを重ねていく際にありがちなループ音の飽和状態を回避できるDecayツマミも非常に便利。
DittoX2にもあった「Reverse」「Halftempo」に加えて「ONCE」「HOLD」「DOUBLE」「FADE」「TAPE STOP」と5つの新規FXが追加され、全部で7種類のループエフェクトが使用できるようになっています。
ループエフェクトは複数のエフェクトを同時にかけてしまうこともできるので、Ditto X4単体でもかなりトリッキーなSEを作れそうです。
既にDitto LooperやDittoX2などを使っている方ならすぐに手に(足に?)馴染む、Dittoシリーズの集大成的なモデルに仕上がっています。

Perform-V

Perform-V 2
TCのボーカルエフェクター・VoiceLiveシリーズ譲りの高品位なエフェクトをボタン一つのかんたん操作で使用できるPerform-V。
基本的な操作はすべて筺体のトップに配置されたボタンとノブのみで行う階層のない操作系統にまとめられており、ディスプレイがなくても不便を感じることはないでしょう。
各ボタンはONの状態で、OFFの状態で白、追加機能を使用した際にく点灯します。
いま使用しているのがどのプリセットで何のエフェクトが掛かっているのかが一目で分かるので、小さなディスプレイやパッチナンバーに目を凝らして切り替えるようなストレスがありません。
エフェクトのバリエーションや掛かり具合も筺体真ん中のノブの操作でどんどん変わっていくので、エフェクトタイプの選択や細かなパラメーターの設定などといった難しい事を考えずにノブをぐるぐる回すだけで好みの質感に近づける事ができます。
Perform-V用に用意された「Perform-V App」を使用すれば「Hardtune」を使ったケロケロボイスや「Harmony」「Megaphone」などのプリセットを追加することもでき、音作りの幅がさらに広がります。
「ボーカルエフェクトで面白い事ができるのは知っているけど、操作覚えるの面倒だし、ライブの現場でPAさんに色々説明するのも大変だから…」と敬遠されていた方にもぜひ使ってみて頂きたい新感覚のボーカルエフェクターです。

プロが使うハイエンド製品だから操作が難しいのは当たり前、というようなイメージを過去のものにしてくれそうなtc electonicの新製品たち。
発売は2月10日(水)の予定。
いまの音作りからもう一歩進んでみたい、という方も、既存のエフェクターではできないことをしてみたい、という方も、ぜひお手にとって面白さを感じて頂ければと思います!

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