2009年12月24日ぶりに帰ってきたAmerican Sound History!!
復帰第一弾は「TELECASTER 1968年製 PAISLEY RED」です。

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サイケデリック、フラワームーブメント全盛期にフェンダーで1968年から1969年に生産された、通称「ピンク・ペイズリー」と呼ばれるレア・フィニッシュ。現在マスタービルダーもので復刻生産されても80万はする、フェンダーが生んだWALLPAPER(壁紙) ARTの極みの一本です。

パーツ交換はありますが初年度=1968年のものが新宿店に入荷致しました。販売価格税込115万円。この歴史的な一本をリアルなペイズリー柄にフォーカスしご紹介していきます。

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ボディの絵柄はペイントではなく、当時ボーデン社から壁紙として発売されていたものを使用。

花柄模様の壁紙は、ボディのトップとバックに貼られており、その上にクリアが吹かれています。50年近く経った現在、ウェザークラックが入り、ピンク色のペイズリーの壁紙はアメ色に焼け、塩化ビニール素材の透明ピックガード下は退色変化は少なく淡いピンク色が残っています。

ボディサイドはバーガンディ系のフィニッシュが退色し、メタリックゴールドに近い色になっているのがわかるでしょうか。

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ピックガードは透明のため、キャビティが透けて見えるのを避けるためフロントのピックアップの周囲が塗りつぶされています。

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ペイズリーの柄が美しく残るようにデザインされていて、フロントピックアップキャビティからコントロールキャビティの間に施される配線溝はこのギターにはありません。

ネックは、この時期までのメイプルネックに見られる、1ピースでネック裏からトラスロッドを仕込みスカンク・ストライプを貼るものではなく、1966年頃からのオプションで見られる、メイプルのネックにメイプル指板を貼る「貼りメイプルネック」と言われる仕様になっています。(この時期はスカンク・ストライプのものも存在します。)

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ネックフィニッシュはラッカーで仕上げられており、弾きこまれて塗装が自然にすり減った感触もこの時期のヴィンテージならではの素晴らしさです。1969年からはポリエステル塗装仕上げが採用されるため、1968年は人気がある年式でもあります。

ヘッドデカールは1967年中頃から始まるブラックロゴ・通称CBSロゴ、モダンロゴが貼られています。

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ネックデートは「3 JUN 68」とスタンプが押されており、「3」はテレキャスターの番号で、「JUN」は6月を意味し、「68」は1968年の下2桁の数字。最後のネックスタイルのイニシャルは消えていて判別が出来ません。このスタンプ形式は1962年から1969年まで採用されていました。

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ミッドセンチュリーが生んだテレキャスターの完璧なボディデザインに、WALLPAPER(壁紙)ARTとして貼られたペイズリーは、半世紀の時間をかけて見事な焼け具合、そしてウェザーチェックが入り、製作されてから48年を経た今もなお、ギター好きを魅了しているのです。

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この記事を書いているとき、アメリカから久しぶりにテレキャスターブラザーズがやってきました。フェンダー社のマイク・ゲイガンです。

(「ギターマンの夢#004」で紹介しています。)

再会してすぐに2人はフェンダーカスタムショップのテレキャスターを手にし、喜びを演奏で表現しあったのです!

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オ~アメリカン!

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