【Vintage File】#13.5 ヴィンテージギターのクリーニング方法

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渋谷店佐藤です。この4月から新生活が始まるにあたり、お住まいの整理やお引越し等された方も多いのではないでしょうか?
やや旬は過ぎた感はありますが、そんな片付け&大掃除シーズンのため、今回の【Vintage File】は普段とは趣を変え、「ヴィンテージギターのクリーニング方法」を紹介させて頂きます。

!!注意!!
今回紹介させて頂く方法はあくまで私佐藤が採っている方法の一例です。作業対象の楽器の種類やコンディションにより、細かいクリーニング・対処方法は異なります。紹介させて頂く方法にて作業した事による不具合等につきまして、当店は一切責任を負いません。ご自身で作業される場合は、あくまで自己責任にてお願い致します。



丁度渋谷店アコースティックフロアに、何とも良い感じに汚れがたまって付着してしまっている60年代製のGibson J-50がありましたので、今回はこちらのギターを実際にクリーニングしていきます。
(ボディは既にクリーニング後だったため、未着手だったヘッド部分のクリーニングの様子を画像と共に紹介させて頂きます。)



まずクロスで表面を軽く拭い、簡単にふき取れるような埃などを取り除いておきます。

ヴィンテージでよくありがちなのが、今回のJ-50のように、長年にわたり埃や小さいゴミ、さらにはタバコのヤニなどがボディ表面に火山灰のように降り積もり、垢のように付着してしまっているパターンです(何故か70年代のGibsonのES-335等のハコモノで異様に多く目にするパターンです。こうした楽器は当時キャバレーやクラブ等のフロアに置かれ、箱バンドに使い回されてきた個体が多かったからではないか・・・と個人的には推測しています)。

このパターンの場合、一般的なギター用ポリッシュでは対処が難しいため、私はコレを使っています。



3Mの「インペリアルハンドグレーズ」#05990!
本来車やバイク等の塗装の最終仕上げ&磨き用のコンパウンドです(残念ながら楽器店での取り扱いはほぼありません・・・)。
ノンシリコンで、(私が使ってきた限りでは)戦前のギブソンやマーチン等を含むラッカー塗装のギターに使ってもギターを痛めないため、楽器用コンパウンドとしても非常に優秀です。
また、この段階ではクロスではなくティッシュペーパーを使用します(クロスを繰り返し使用するとふき取った汚れがクロスに付着してしまい、せっかくふき取った汚れを再度ギターに塗りこんでしまう事になるため、コスト・パフォーマンスに優れるティッシュをガンガン使い捨てて拭いていきます)。汚れた面にインペリアルハンドグレーズを塗り、ティッシュで木目に沿って拭い取るようなイメージでふき取って・・・をひたすら繰り返します。



ふき取ったティッシュの様子です。汚い画となり失礼致しますが、濃い茶色っぽいものは全てギターに付着していた汚れです!



とにかく時間がかかりますが、あせらず、根気よく拭いていきます。しかしながらあまり丹念にやりすぎると、必要以上にビカビカ・ツルツルになりすぎてヴィンテージらしさが無くなってしまったり、さらには塗装面を傷つけてしまうこともありますので、そのさじ加減が難しい所ではあります。特にブランドロゴのデカールや、風化してパリパリになっている塗装面は、油断していると汚れと一緒にバリっと取れてしまう場合がありますので、注意深くやる必要があります。ポリッシュを使用したクリーニング全般に言えることですが、最初は目立たない箇所でテストしてから行う事も大切です。



こうして繰り返していくと、汚れが除去され、本来の美しいラッカー塗装面が姿を現します(写真のヘッド中央付近)。全体的にこの雰囲気になるまで、引き続き拭いていきます。



かなり綺麗になりました。ここまで綺麗にした状態で、ようやくギター用ポリッシュの登場です。



私が個人的に仕上げ用として愛用しているのはKen Smithの「Pro Formula Polish」です。Ken Smithはハイエンド・エレクトリック・ベースのブランドとして有名ですが、こちらのポリッシュもベース同様非常に高品質で、研磨剤やシリコンを含んでいないため、ヴィンテージ等のデリケートな塗装にも安心して使えます!
また、個人的には匂いがGood(イチゴの香りに似たようなタイプ?)で、化学薬品っぽい臭いが無い点もお気に入りポイントです!



また、ここまで綺麗にすると目の粗いティッシュはボディに傷をつけてしまうので、クロスを使用していきます。
クロスも少し高価ですが、下記のようなマイクロファイバー等の目の細かいタイプを使用すると効果が段違いです。



 

クロスに先程のポリッシュを少量つけ、木目に沿って優しく拭っていきます。

 
(←クリーニング後&クリーニング前→)

完成です。びっしり入ったウェザー・チェックも相まって、単に汚くみすぼらしかった最初の状態と比べると、清潔感がありながらも、しっかりヴィンテージらしい風格を感じさせるルックスとなって甦りました。
前述の通りあまり気合を入れてクリーニングしすぎると、表面がつやっつや・ツルッツルになりすぎてヴィンテージらしさが薄れてしまったり、塗装面を痛める様な思わぬ事故にもつながるため、「ほどほど」で切り上げる勇気も必要となります。好みや主観の要素もあるため難しいのですが、私は「清潔感があるか」「"甦った感"があるか」を基準にしています。

 

また、指板やフレット等、直接手を触れる箇所も可能な限り綺麗で清潔にしておきます。
こちらも色々と方法はあるのですが、私は
・マスキング・テープで指板を覆った後、Fernandes「946 スクラッチメンダー」(金属パーツ用研磨剤)でフレットを磨き

・Howard「Orange Oil」(オレンジオイル・・・楽器の指板やブリッジ以外にも、木製家具等にも使用できます)で指板のクリーニング
を行っています。





普段と趣を変えてお送りしましたが、如何でしたでしょうか?
車やバイク、革靴やアクセサリーなどと同じく、ギター・ベース等の楽器も演奏する道具として使っている時以外、お手入れの時間等もロマンを感じられる楽しいひと時ですよね。
今回使用したインペリアルハンドグレーズは汚れが特にひどい時用ですので、近年製のギター等で普段のお手入れの際はから拭きやポリッシュ+クロスでのお手入れで十分ですが、弦交換のタイミングなどで是非たまった汚れを綺麗にして頂ければと思います。

今後の【Vintage File】も、たまに趣を変えた内容でお送りしていきますので、お楽しみに!

この記事を書いた人

佐藤俊太
渋谷店リユースマネージャー。普段は渋谷店に籍を置きつつ、イシバシ社内のエレキやベース、アンプ等含めた海外でのヴィンテージ楽器の買付も担当、定期的に渡米し現地のディーラー/コレクターと直接交渉を重ね買付を行っている。特にアコースティックギターに精通しているが、プライベートではパンクやガレージロック、ダークなアンビエント等を好み、愛器は1970年製Guild Bluesbird、モディファイした近年製SG Special、自作のストラト・タイプ、Mayonesの7弦などなど。個人的にはヴィンテージ/近年製問わずアクの強い楽器が大好物。はじめての楽器選びから一生モノとなるとっておきの1本まで、皆様の愛器との時間が最高のものとなるべく、精一杯お手伝いさせて頂きます。