【イシバシ三銃士のスーパーギター列伝・アーカイブス】第14回

※この記事はイシバシ楽器メールマガジン2017年6月号「イシバシ三銃士のスーパーギター列伝」からの転載記事です。最新版はイシバシ楽器のメールマガジンにてご覧いただけます。


Q:ウクレレってどんな楽器? 弾くの簡単ですか?

A:ハワイアンに限らず色んなジャンルで活躍できます。曲を弾ける様になるには練習は必要ですが、とっつきやすく扱いやすい楽器ですよ!

イシバシ楽器渋谷店の佐藤です。

今回も実際に店頭で皆様から頂く事の多い(時にきわどい)ご質問に率直に回答させて頂きます。

最近梅雨入りし雨が多く憂鬱ですが、これを過ぎればいよいよ夏本番!
そして数ある楽器の中でもトップクラスに“夏っぽいもの”と言えばウクレレ!
最近上記のお問い合わせを店頭でも頂く機会が多くなってきました。

というわけで今回は、「ウクレレをこれから弾き始めたい/前から気にはなっていたけどいまいちよくわからない」という方向けに、「ウクレレってこんな楽器ですよ」という内容で、オススメのモデルを数本紹介しつつ、ご案内させて頂きます。

●ウクレレってそもそもどんな楽器?

誤解される事が多いのですが、実はウクレレは「ハワイの民族楽器」ではありません!
元々の祖先はアコースティックギターと同じくヨーロッパのギター/リュート族の楽器で、それが大航海時代にハワイに渡り、独自の進化を遂げたもの、というのが定説となっています。

基本的には弦は4本で、調弦方法は4弦から1弦まで順番にG、C、E、Aと調弦しますが、構えたときに一番手前に来る4弦が細い(=4弦のGの調弦はオクターブ上のHi-G)のが大きな特徴で、これにより上下どちらの方向から弾いてもウクレレ特有の軽快でカラっとしたサウンドが出せるようになっています。

*太い弦を張ってオクターブ下に調弦するLow-Gチューニングもありますが、今回は割愛します。

しかも、この調弦はギターから太い6, 5弦を取り除き、5フレット上にカポタストを付けた状態と同じチューニング(4弦は前述の通り1オクターブ上)の為、普段ギターを弾く方であれば応用が効き、フォームを早く覚えられますね。
ギターより2本弦が少ない分、コードが覚えやすい楽器とも言えるかもしれません。

前述の出自を持つ楽器ですので、ギターと同じく、ハワイアン以外にもポップスやロック、ブルースやジャズなどなど、様々なジャンルで活躍できる楽器です。

●どんな種類(サイズ)があるの?

大きさが異なるウクレレが並んでいる光景を見られた方も多いかと思いますが、リコーダーやサックス等と同じく、ウクレレにはサイズにより大きく分けて4つのバリエーションが存在します。順番に紹介させて頂きます。

*ソプラノ

最も小さく、最も基本的なサイズです。
ウクレレといえばこのサイズを連想する事が多いのではないでしょうか?
抱えやすく弦も押さえやすいため、これから始める初心者の方には最もお勧めです。
音量は控えめですが軽快な鳴りが持ち味で、どちらかというとジャカジャカとコードを弾くスタイルの演奏に向いています。

*コンサート

ソプラノよりやや大柄かつスケール(弦長)も長いタイプです。
フレット数もソプラノより多いモデルが多く、コード弾きの他、ソロ弾きにも適しています。
さらに、ソプラノだとフレット間が狭くて弾きにくい!という手の大きい男性の方にとっては最初の1本としてもお勧めです。

*テナー

コンサートよりさらに大柄かつスケールも長いタイプです。
ギターに近くなり、音量も出るため、ジェイク・シマブクロのように今風のバンドアンサンブルの中でソロをかき鳴らすようなプレイスタイルに最も適しているタイプです。

*バリトン

テナーよりさらに大柄かつロングスケールで、一般的には最大のサイズです。
調弦はバリトンだけが唯一異なり、通常ギターの4?1弦と全く同じ(D,G,B,E)調弦となるため、ギタリストにとっては移行が非常にスムーズなタイプです。
大きいボディを活かしたふくよかなサウンドが持ち味で、ポロポロと爪弾くスタイルの弾き語りや、ソロ・ウクレレに適しています。

*ロングネック系

前述の4サイズの他にも、ソプラノのボディにコンサートのネックを付け、弦長を長くしたもの=「ソプラノロングネック」や、コンサートのボディにテナーのネックを付けたもの=「コンサートロングネック」、ネックとボディのジョイント位置をずらしてソロ弾きしやすいようにしたもの…など、「良いとこ取り」のサイズも存在します。

●ウクレレ本体の他に何が必要?

アコースティック弦楽器で、かつ特にソプラノの場合はピックやストラップを使わずに小脇に抱えて指でポロポロと弾くスタイルが基本の為、必要なものは少なく気軽に音を出して始められるのもウクレレの良いところです。
ただし、無いと厳しいもの、あったほうが嬉しいものもありますので、順番に紹介させて頂きます。

*チューナー

正しい音程に調弦するための道具です。絶対音感のある方以外は必要かと思われます。
最近はスマートフォンのアプリでも色々とチューナーは出ていますが、ボディの振動を直に拾い、周りがうるさい環境でも楽に調弦できるクリップチューナーは便利で、お値段もお手頃なものだと1,000円以下で販売されていますので、1台はお手元に置いておく事をオススメします。

*弦

ギター等と同じく、ウクレレの弦も消耗品です。
切れなくても劣化していくため、3ヶ月に1度は交換してあげた方が良いでしょう。
1セット予備で持っておけば、急なアクシデントにも対応できます。

尚、ウクレレの弦はブラックナイロン、クリアナイロン、カーボンなどなど、様々な素材で作られたものが多く販売されています。基本的にはカーボンの弦はナイロン弦と比べて硬質で固いトーンで、テンション感も高くなります。
素材の違いによって押さえやすさ(硬さ)やサウンドがかなり変化しますが、最終的にはプレイスタイルや演奏者本人の音の好みによって何がベストかは変わってきますので、色々試して頂く事をオススメします。

また、弦交換はギターと同様に演奏者本人が行うのが基本ですので、慣れないうちはなかなか上手くいかない事もありますが、是非演奏と同様に早いうちに練習してマスターしてみて下さい。

*ケース、クロス

頻繁にウクレレを持ち運ぶ方であれば、ケースが必要です。ソフトケース/ハードケースはそれぞれ一長一短ありますので、交通手段や使用頻度も考慮に入れつつ、ご検討頂ければと思います。
また、お手入れ用のクロスも1枚はあった方が便利ですね。

*便利な“コード表付きクロス”なんてものもあります!

●オススメのモデルはありますか?

これから始める方に自信を持ってオススメできるモデルを、3本セレクトして紹介させて頂きます。

*Famous FS-5G

日本の老舗ウクレレブランド、Famous(フェイマス)の人気ソプラノ・モデル! ボディ材にはハワイアン・コア材を使用し、お手頃な価格ながら、ウクレレらしいカラっとした明るい音色がしっかりと味わえる1本です。
ペグ(糸巻き)はギアペグとなっており、初心者の方でも調弦が非常に楽な点もポイント。
安心の日本製でクオリティ・演奏性もしっかりしており、ウクレレ教室の先生の方々からもオススメして頂く機会の多い1本です。

*Famous FC-1G

こちらもFamousですが、ソプラノよりも一回り大きいコンサート・サイズです。
前述の通り、手の大きい方でソプラノだとちょっと小さすぎて押さえにくいという方、ソロ・ウクレレにも挑戦したいという方のための最初の1本としてオススメです。
ボディ材にはマホガニーが使用され、素朴ながら温かみのあるポロンポロンとしたサウンドが心地よいモデルです。

*KoAloha KSM-00 UG

歴史は比較的若いブランドながら人気のハワイ製メーカー、KoAloha(コアロハ)のソプラノ・モデル。
船の櫂のような形状のヘッドストック、おにぎり型のサウンドホールといったユニークなデザインが目を惹きます。
ボディはハワイアン・コアのオール単板仕様となっており、いかにもハワイ製のウクレレらしい、明るく派手でカラっとした鳴りが持ち味です。
最近アップグレードされ、指板がローズウッドに変更、ロゴや指板のポジションマークが貝細工となり、一段と華やかなルックスになりました。
お値段はやや高めですが、せっかくだから本格的なサウンドで練習し始めたい! という方には是非オススメの1本です。

今回はやや趣を変え、ウクレレをテーマにお伝え致しました。

小さく場所をとらないため、普段はインテリア的に部屋に置いておき、リラックスしてポロポロと鳴らして楽しむにも最適な楽器ですし、もちろんしっかり使えば、バンド・アンサンブルの中でも活躍できるウクレレ。
是非この夏に始めてみては如何でしょうか?

大いなるギター(ウクレレ)ワールドの旅に出かけよう!

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