リニューアル版D-41をご紹介

Harvest Guitarsの白井です。リニューアルしたマーティン・スタンダード・シリーズを紹介してきておりますが、今回はD-41を取り上げたいと思います。

以前にも書かせていただいたと思いますが、私自身D-41を所有しています。40番台モデルらしい存在感のあるサウンドが楽しめ、またフォーク小僧だった時代に憧れた縦ロゴ、ヘキサゴン・インレイ、アバロン・トリムが持つ喜びを感じさせてくれます。フェイヴァリット・ミュージシャンのダン・フォーゲルバーグ、アメリカのジェリー・ベックレーが使用していたことが購入のきっかけでしたが、後述の通りボーカルとのバランスのとりやすさが大変気に入っており、現在演奏活動のメイン・アコースティック・ギターとなっています。

↑1974年製D-41と筆者。この時代のアバロンはソリッドのため輝きが若干鈍く、ラミネートとなった現在の製品の方が輝いて見えます。

さて、このD-41は1969年に発売が開始されました。その前年に再生産が始まったD-45の廉価版に位置付けられますが、音色の傾向はD-45に通じる所謂「鈴鳴り」のトーンを持っています。音量はD-45と比較すれば控えめではありますが、D-28と同等かそれ以上のボリュームがあります。それでいて、ボーカルとバランスが取りやすいキャラクターが魅力です。上述のアーティストのほか、初期のオフコースの小田和正、鈴木康博も使用しており、ボーカル、コーラスを主体としたミュージシャンに人気の高いモデルです。

何度か仕様が変更されていますが、基本的なスタンスは変わっていません。最初の大きな仕様変更は1987年にありました。スキャロップド・ブレーシグが施され、ポジション・マークが小型となり1フレットと17フレットにも追加されました。またピックガードが鼈甲色となりました。この仕様変更によりルックスがD-45に近づきました。またスキャロップド・ブレーシングの採用により、よりレスポンスが早く、広がりのある音色が得られるようになりました。

↑一世代前のD-41。トップのフィニッシュはクリア(透明)でペグがロトマティックです。

そして、今年の仕様変更では、エイジング・トナー、オープン・ギア・ペグが採用されたことで、戦前のD-45に通じる味わいのあるルックスとなりました。1969年発売のD-41がヴィンテージ風というのは妙と思われるかもしれませんが、実際手に取ってみると惚れ惚れするルックスです。ダイキャストのロトマティック・ペグからオープン・ギア・ペグとなったせいか、幾分音色が軽快になっています。また、他のスタンダード・シリーズ同様、ネック・シェイプはモディファイド・ロー・オーヴァルとなり現代のニーズにマッチした演奏性を兼ね備えています。

↑新仕様のD-41。トップのフィニッシュがヴィンテージ風の飴色がかったエイジング・トナーとなり、ペグがオープン・ギアとなったため印象が変わりました。

↑新仕様のD-41のバック。D-45ではサイドとバックのバインディングにアバロンのインレイが入りますが、D-41には入りません。またヘッドの付け根にD-28、D-45同様のボリュートがあるのが確認できます。

↑新仕様のD-41のヘッドストック。オープン・ギア・ペグとなったため、ペグ・ポストのワッシャーが小ぶりとなり、すっきりとした印象のヘッドストックとなりました。ポジション・マークがD-45と比べると小さいのも分かります。

↑新仕様のD-41の口輪周辺。ラミネートのアバロンが煌びやかです。D-45はサウンドホールが若干下の位置になりますが、D-41のサウンドホールの位置はD-28などと一緒です。

 

↑新仕様のD-41にはサンバースト・カラーがラインナップされました。ジャクソン・ブラウンが初期型のD-41のサンバーストの物を使用していました。

かつては「D-45が買えない人が持つギター」的なイメージがありましたが、今はこのギターでしか出せない音を求めてD-41を購入される方が多くいらっしゃいます。音色、演奏性も素晴らしいですが、縦ロゴ、アバロンの輝きは見ているだけでロマンティックな気分にさせてくれます。D-41もまた一生モノのギターです。是非一度手に取ってみてください。

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