BOSS WAZAシリーズの最強ディストーション「MT-2W」レビュー!

WAZAシリーズの歪み系第3弾として遂に登場したMT-2W
1991年のデビューから、デュアルゲイン回路による激しく深い歪みを武器に「BOSS最強のディストーション」として20年以上も君臨するMT-2にメーカー純正のチューニングを施したWAZAシリーズ初のハイゲインペダルです。

取扱説明書記載のスペック面で見ると[オリジナルMT-2:20mA、MT-2W:35mA]とほぼ倍近い消費電力になっています。
回路の大幅な設計変更が行われたであろうことは想像に難くなく、NJM14558Lオペアンプを中核に据えた回路で作られているMT-2のサウンドをディスクリート化されたデュアルステージゲイン回路でどのように再現しているのか、気になるところですね。

各モードの印象としては

[Standardモード]

サウンドクリップ 0:02~ シングルコイルPU リア
0:26~/0:50~ ハムバッカーPU リア
1:50~ Rチャンネル


サウンドクリップ 1:00~ ハムバッカーPU リア


サウンドクリップ 1:58~ ハムバッカーPU リア
2:13~ Rチャンネル

ノーマルのMT-2よりもゲインを上げていった時のノイズが少なく、ゲインツマミが2-3時くらいでも常識的なノイズの範疇といった感じです。
EQは従来のMT-2のイメージどおり分かりやすい効き方ですが、MIDFREQツマミを真ん中にした時に掛かる帯域が少しロー寄りに来ている気がします。
ミドルFREQをド真ん中12時の位置でミドルを少し削っていくとタイトにまとまってくれて、お手本のようなメタリックなドンシャリサウンドが飛び出し、気持ち良くリズムを刻めます。

[Customモード]

サウンドクリップ 0:15~ シングルコイルPU リア
0:34~ ハムバッカーPU リア
1:50~ Lチャンネル


サウンドクリップ 1:09~ ハムバッカーPU リア


サウンドクリップ 2:07~ ハムバッカーPU リア
2:13~ Lチャンネル

ミッドのピークポイントが上の帯域にシフトするのがパッと聴きでも明らかに分かります。
アンプのミッドシフトスイッチをオンにしたようなイメージで、ハイミッドの耳づきが良い所がグッと持ち上がるので、バンドの中で混ざって音抜けが物足りない時の助けになってくれるはず。
ツマミの位置がどうであれアンサンブルの中で必要とされるミドルは常に残ってくれる感じがするので、ミックスの中でギターの居場所を保ち続ける「強い」ギターの音作りには最適でしょう。

当然好みはあると思いますがStandardモードでミドルをもっと強調したい、と感じたらCustomモードにシフトするくらいの考え方で使えると思います。
Customモードは前述の通りミドル周りのキャラクターが立っているので、複数の楽器が折り重なるアンサンブルの中でアタマひとつ出てくる音作りはStandardモードよりも楽にできるでしょう。

MT-2Wを2台並べてバッキングはStandardモード、ソロはCustomモード、みたいに使い分けるのも面白そうです。
個人的な感覚としては、MT-2のサウンドをベースにDS-2のターボモードのような盛り上がったミッドピークが与えられたのがCustomモードというイメージを持っています。
しかもイコライジングはブーストだけでなく同量のカットもできてコントロールしやすく、MT-2ならではのAMラジオトーンもさらにエグく作れます。
ただの歪みエフェクターではなく、昨今流行のプリアンプ志向でもなく、優秀なトーンシェイパーとして進化したMT-2といった感じです。

WAZAシリーズの例に漏れず、オリジナルモデルのサウンドを大事にしつつも、元になった機種の個性を一層引き立てる一工夫を加えたモデルとなっています。
本家本元によるチューニングが施されたと考えると、20000円以下に抑えられた価格はまさにお買い得と言えるでしょう。
さまざまなブランドからモディファイモデルが出回り、改造方法もインターネットを介して多く広まっているMT-2チューニングに対するBOSSからの新たな提案となるMT-2W。
BOSSマニア、WAZAフリークならずとも、個性的で使えるハイゲインな歪みペダルをお探しのすべての方にぜひ一度試していただきたい一品です!

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