「昭和30年代男の憧れ3ギブソン・レスポール&フェンダー・ストラトキャスター」

今回は「昭和30年代男シリーズ」エレキ編です。昭和30年代生まれは、フォークのみならずロックが熱かった時代も良く知る世代です。吉田拓郎から入った私もフォーク・ギターを弾く傍らで、ディープ・パープル、グランド・ファンク・レイルロード、レッド・ツェッペリンにも耳を傾けていました。エレキ・ギターを初めて買ったのは高校に入ってからですが、中学時代には同級生や先輩にグヤトーンやフレッシャーのエレキを借りてラジカセに繋げて練習していました。グレコの「成毛滋のロックギターレッスン」(画像)がエレキの先生でした。お世話になったギター少年は多いはずです。カセット・テープのアシスタントの女性の舌足らずのナレーションが印象的で、ギターの練習をせずにその物まねばかりをしている友人も居ました。そして、楽器店でのエレキの試奏曲と言えば、もちろんディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」(のイントロ)。当時の典型的なギター小僧でした。

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成毛滋のロックギターレッスンのテキスト

あの頃、私達が憧れた海外のロック・ミュージシャンが使用していたエレキ・ギター、ベースはほとんどギブソン、フェンダーの製品でした。貴重な情報源であったNHKの音楽番組ヤング・ミュージック・ショーやミュージック・ライフ誌のグラビアを見ては、彼らが使うギターやベースをチェックしたものです。結局、中高生の私達には到底買える値段ではなく、御茶ノ水の楽器店街に通っては、ショー・ケースに並んだレスポール、SG、ストラトキャスター、テレキャスターなどを指をくわえて眺めていました。そんな私達の強い味方は日本製のいわゆるコピー・モデルでした。グレコ、フェルナンデス、そして少し遅れて出てきたトーカイといったブランドが、ギブソン、フェンダーなどの人気モデルをそっくりに真似ていました。特にトーカイが参入した頃からビンテージ・ギター(当時はオールド・ギターと呼んでいた)への探求が過熱。グレコのスーパー・リアルやフェルナンデスのリバイバル・シリーズらと凌ぎを削ったものです。今となってはビンテージへの忠実度については詰めの甘さを感じさせる箇所もありますが、ギターとしてはしっかりと作られていました。現在そういったギターが「ジャパン・ビンテージ」と呼ばれ評価されていますが、それらについては別の機会に書いてみましょう。

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懐かしの日本製コピー・モデルのカタログ達

さて、ギブソンもフェンダーのエレキは今も変わらぬ人気を誇っていますが、前々回、前回取り上げたフォーク・ギター同様、現行ラインナップは種類が豊富過ぎて、何を買ったら良いのか迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今回も昭和30年代男目線でアイテム選びのヒントを書いてみたいと思います。モデルは、ギブソン、フェンダーそれぞれの代表機種、レスポールとストラトキャスターを取り上げてみます。

<ギブソン・レスポール>
●迷ったらトラディショナル
レスポールの中心的モデルと言えばスタンダードですが、現行のレスポール・スタンダードは時代に合わせてスペックがアップデートされています。昭和30年代男がイメージするレスポール・スタンダードを継承するのはレスポール・トラディショナルとなります(ちなみにレスポールが登場した当時はスタンダードというモデル名はなく、これは後年付けられたものです)。レスポール・トラディショナルは昔憧れたレスポールに近いスペックを持ち、現在お値段も大変リーズナブル。昔のイメージのレスポール・スタンダードをお探しで、お迷いでしたらこのトラディショナルをお勧めいたします。コピー・モデルにはない本物の風格を感じていただけるでしょう。

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The Les Paul Traditional 2016 T

●こだわるならヒストリック
あの頃、ジミー・ペイジ、ポール・コゾフ、デュアン・オールマン、ピーター・グリーン、ビリー・ギボンズ、ドン・フェルダーなどが使っていたレスポールは1950年代製。もし、予算に余裕があり、また細部にもこだわるのであれば、当時のギターの本格的な復刻版であるヒストリック58レスポール、同59レスポールなどがお勧め。年々改良が加えられ、またバリエーションも増えています。本物のビンテージと見まごうばかりの仕上げが施されたアイテムもあります。また予算を抑えたいのであれば、旧世代のアウトレット品や中古品も狙い目でしょう。手にしてみると音色、質感の違いがお分かりいただけるでしょう。スタンドに立てて眺めているだけでも楽しくなるギターです。スタジオでスタックのマーシャル・アンプに繋げて大音量で鳴らしたいギターでもあります。

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Standard Historic 1959 Les Paul Standard

<フェンダー・ストラトキャスター>
●懐かしいデザイン、リーズナブルなプライスのクラシック・シリーズ
70年代当時ストラトキャスターはいわゆるラージ・ヘッドが採用されていました。70年代前半は日本のストラトキャスターのコピー・モデルもラージ・ヘッドばかりでした。ちなみに、すでにデレク&ドミノスの『愛しのレイラ』の裏ジャケットにスモール・ヘッドのストラトキャスターを登場させていたエリック・クラプトンは、初来日公演ではエクスプローラーを使用。70年代半ば頃にギター雑誌に掲載されたミュージックマンのアンプの広告でもエクスプローラーを抱えていました。そして二回目の公園ではテレキャスターを使用し、少なくとも当時のビジュアル面では今ほどストラトキャスターの印象が強くありませんでした。ストラトキャスターに関して言えば、当時はラージ・ヘッドの物を弾くリッチー・ブラックモアの方が影響力があったように思えます。そんな70年代のストラトの復刻モデルとしてお勧めなのはこちらクラシック70’sストラトキャスターです。リッチーはもちろん、ロウエル・ジョージをも気取れますね。メキシコ生産のクラシック・シリーズはリーズナブルなプライスなのが魅力。50年代、60年代の復刻モデルもラインナップされているので、スロー・ハンドのクラプトンを気取るなら50s、またロリー・ギャラガーなら60sという手もありますね。

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Classic 70’s Stratocaster

●こだわるならアメリカン・ビンテージ・シリーズ
実際に70年代にも、ビンテージのスモール・ヘッドのストラトを使用しているギタリストは居ました。デイヴィッド・ギルモア、ロビー・ロバートソン、ローリー・ワイズフィールド、ロビン・トロワーらもそうでした。注意深くグラビアやレコード・ジャケットをチェックしているファンは気がついていたことでしょう。スモール・ヘッドのストラトを持つのなら、ビンテージ・スペックにこだわるアメリカン・ビンテージ・シリーズも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。こちらはメイド・インUSA。もちろん、欲を出せばカスタム・ショップ製品も考えたくなりますが、アメリカン・ビンテージ・シリーズはスペックの割りにお値打ち価格となっています。持つ喜びも十分味わえます。

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American Vintage 56 Stratocaster

いかかでしたでしょうか。書いているうちに書きたいことがどんどん思い浮かんでしまい、収拾がつきそうにありません。それらはまたの機会ということで、今回はこれくらいで止めさせていただきたいと思います。

最後に昭和30年代男はもちろん昭和40年代男にもお勧めのムックをご紹介しましょう。えい出版の「憧れの銘品ギター図鑑」です。少年時代に憧れた人気ブランドの製品を分かりやすく紹介しています。購入の予習にぴったりの本です。

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えい出版「憧れの銘品ギター図鑑」

<お詫びと訂正>

投稿時点では、エリック・クラプトンが初来日公演でテレキャスターを使用したと記述しておりましたが、正しくは二回目の来日公演でした。訂正済みです。お詫び申しあげます。

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