チューニングや奏法、人気ブランドは?バンジョー特集

バンジョー
私のコーナーでは、吉田拓郎、かぐや姫、ニッティ・グリティ・ダート・バンド、イーグルスらのアルバムの使用楽器分析や、ブルーグラスの紹介の記事を書いてきました。そこで、何度も登場したバンジョーやマンドリンについて、楽器単独で紹介してみようと思います。今回はバンジョーです。

バンジョーとは


バンジョーは皮を張った丸く平べったい共鳴胴を持つ弦楽器です。バンジョーと言うと、現代ではフォーク、ブルーグラスといった白人音楽のイメージがありますが、元々は奴隷としてアメリカ大陸に連れて来られたアフリカ人が広めたアフリカ起源の楽器です。初期のバンジョーは民族楽器の域を出ない構造でしたが、ギターやマンドリンとともに完成された楽器へと進化していきました。

弦の数は4本、5本、6本の物があります。ここでは、ロック、ポップスで馴染み深く、また入手しやすい5弦バンジョーを紹介しましょう。ちなみに、4弦バンジョーには、ディキシーランド・ジャズ、アイリッシュなどで使用されるショート・ネックのテナー・バンジョー、5弦バンジョーと同じ長さのネックを備えたプレクトラム・バンジョーがあります。また6弦のバンジョーは、ギターと同様のチューニングで奏でるためギター・バンジョーと呼ばれます。



↑リゾネーター5弦バンジョー(Gibson)



↑オープンバック5弦バンジョー(Epiphone)



↑オープンバック・バンジョーを裏側から見る



↑テナー・バンジョー



↑ギター・バンジョー

チューニングと奏法


5弦バンジョーの基本的なチューニングはオープンGチューニングです。5弦からGDGBDとなります。ギタリストであれば、ギターのオープンGチューニングから6弦を取っ払ったものと考えれば簡単かもしれません。またキース・リチャーズのファンなら、キースの5弦ギターと一緒と思うかもしれません。ところが、良く見ると、5弦バンジョーのペグヘッドには糸巻が四つしか付いていません。五つ目の糸巻はネックの途中(5フレット)に埋め込まれています。そこから5弦が張られているのです。5弦の開放のGは1弦5フレットのGと同じ音に合わせます。そしてこの5弦は原則的にドローンとして常に開放のまま奏でられるのです。これが5弦バンジョー独特の響きを生み出すのです。



さて、5弦バンジョーには、上の画像でもお分かりの通り、オープン・バックの物とバックにリゾネーターを備えた物があります。前者は素朴な音色で、弾き語りや少人数のアコースティックなアンサンブルで演奏するのに向いています。後者は音量とパンチがあり、バンド・アンサンブルで使いやすく、フォーク、ブルーグラス、ロックと幅広い音楽で使用されています。

主な演奏スタイルとして、ピート・シーガーなどで有名なフォークで使用されるフレイリング、クロウハンマーという奏法、そしてアール・スクラッグスが確立したスクラッグス・スタイルと呼ばれるブルーグラスの奏法があります。前者はピックを付けず、親指と中指を使い、後者はサム・ピック、フィンガー・ピックを使用し、親指、人差し指、中指を使います。二つの違いは音源や動画で確認すれば一目瞭然です。

変則チューニングとカポタスト


オープンGチューニングで演奏するバンジョーですが、キーがCの場合は4弦を一音落としてCにするCチューニング、またDの場合はオープンDチューニングといった変則チューニングを使用することがあります。それ以外の場合はカポタストを使用します。1弦から4弦まではカポタストの使用は問題ないですが、5弦はネックの途中から生えているため工夫が必要になります。レールの上をカポがスライドする専用の5弦カポという物を装着することもできますが、一般的には指板上に釘を打って、そこに弦をひっかけてカポタストの代わりとします。釘は鉄道模型のHOゲージ用の犬釘を使用します。



↑5弦カポ(Shubb)全貌



↑5弦カポ(Shubb)を取り付けたネック



↑犬釘を打った指板(赤い囲みの中)

バンジョーの人気ブランド


アメリカのメーカーとしてはギブソンが有名です。ギブソンはバンジョー、マンドリンのトップ・ブランドとしてブルーグラス・シーンを牽引してきました。しかしながら、現在バンジョーの生産は休止されています。再生産が切望されています。なお、入門者向けのエピフォン・ブランドのバンジョー(アジア製)は継続して生産されています。
同じくアメリカのステリング、ディーリングなども良く知られるブランドです。特にディーリングは、コスト・パフォーマンスに優れたグッドタイム・シリーズなど画期的なアイテムで注目されています。HOSCOが日本の輸入代理店となっており、比較的入手は容易です。



↑Deering Goodtimeシリーズ

そのHOSCOは、入門者向けのブラントンをはじめ、ゴールド・スター、レコーディング・キングといった本格的なアイテム(アジア製)を扱っており、バンジョー・ファンの心強い味方となっています。



↑Goldstar

また、70年代から80年代前半にかけて日本でもバンジョーが作られました。主なブランドとして、ピアレス、サム、テネシー、モーリス、カスガ、トーカイ、アーガス、ブルーベルが挙げられます。ピアレス、サム、テネシーは主に入門者向けでした。当時、レコード会社や楽器メーカーにブルーグラスを広めたいという情熱的なスタッフがおり、彼らの尽力で本場のレコードがリアルタイムに紹介され、そして品質の高い楽器が作られたのです。中でもトーカイやブルーベル製品にはギブソンに引けを取らない物もあり、現在ではジャパン・ビンテージとして評価されています。

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次回はマンドリンを取り上げます。

この記事を書いた人

白井 英一郎
1960年生まれ。勤続30年以上。吉田拓郎に憧れ12歳でギターを始める。スティール・ギター、バンジョー、マンドリン、ウクレレ、三線も演奏するマルチ弦楽器奏者。ウエスト・コースト・ロックとマーティン・ドレッドノート、フェンダー・テレキャスター、リッケンバッカー12弦ギター、ワイゼンボーンをこよなく愛する。ライターとしても活躍中で、伝説のムック「丸ごと一冊ヤマハFG」にも執筆。

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