【Vintage File】1965年製Gibson DOVE Natural ~鳩は何を思う!?~

イシバシ楽器渋谷店の納富と申します。
今回ご紹介するのは、1965年製のギブソン”ダブ”です。

1962年に誕生した、16-1/4″WIDEのスクエアショルダーのアコースティックギター、DOVE。
SIDE/BACKにメイプルを使用し、ハカランダ指板を貼ったマホガニーNECKは25.5″のロングスケール、約42mm強のナット幅。
ギブソンのアコースティックは1965年頃に大きな仕様変更がなされます。
ヘッド角が17度から14度に、ナット幅が約39-40mmのナローNECKになりますが、こちらは仕様変更前のスペックにあたり、所謂過渡期の1本と言えます。

また、1965年頃からSIDE/BACKにラミネート(合板)仕様のものが散見され始めますが、こちらの個体もTOPは単板で、SIDE/BACKは合板になっています。現在はギブソンのアコースティックは一部J-160Eなどを除いては、基本オール単板なのですが、こういった合板がSIDE/BACKに使用されるのも歴史を感じさせますね~♪

ブリッジにはギブソン エレキギターでお馴染みのTUNE-O-MATICを採用しています。アコースティックでは1961年頃にJ-200で採用されはじめ、DOVEにも採用されたようです。しかし、このブリッジ、本当に変形しやすいんです。1964年製の個体のTUNE-O-MATICはこんな感じに変形しています。しかし、この1965年製の個体には、TUNE-O-MATICの下にWOODを添えて、変形しにくく手入れをしています。みなさん、いろいろ工夫してますね~。

スペック的なところはここまでにして、本題に入りたいと思います。

Gibson DOVEといえば、やはり一番特徴的なピックガードが思い浮かぶでしょう。ワイルドローズの枝にとまっている”鳩(DOVE)”が印象的ですね♪

”鳩”は、元来「愛・平和の象徴」とされ、神聖な存在なんですね~。

このピックガードの絵柄は弾いて行くうちにどんどん薄く削られていき、殆ど絵柄が見えなくなってしまうのも多いですが、この個体は綺麗に絵柄が残っています。ここで興味深いのは鳩の”表情”です。1965年製のこの個体は、凛とした表情でとまっていますね。
一方1964年製の個体の方はと言うと、ちょっとふてくされたような表情をしているように見えますね(笑)
この表情は、赤い丸が目でその上が眉ということだそうですが、眉の部分を目に、目の部分をほっぺに見立てると笑っているような表情にも見えますね♪ただ、鳩の目は赤い、という事実を踏まえると赤い丸が目でその上が眉ということになりますね~。しかし、鳩って眉ありましたっけ・・・?

さて、最近のDOVEはというと、くちばしが変わっていたり、赤い小さな丸の目がなく、”目をつむっている”表情を表しているそうです。見ようによってはにっこりと笑っているようにも見えますが・・・現在のモンタナ工場でも製作時”ハトの表情のデザインを多少変化させている意図はある”とのことです。

もし皆様の中でDOVEをお持ちのかたがいらっしゃったら、ご自身が所有されているDOVEの表情はどうなっているか、今一度確認されると面白いかもしれません。

Vintageというのはスペックや歴史を追いかけるのも興味深いところではありますが、”当時どのような意図でこれが作られていたんだろう”とか、”この部分って本当はどうなんだろう”とか、ちょっと不確かなところを想像したり、考えたりするのも面白いものです。

※今回ご紹介した1965年製DOVEは現在メンテナンス中です。メンテナンスからあがって来次第、商品ページを公開させていただきますので、お楽しみに~♪

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