【イシバシ三銃士のスーパーギター列伝・アーカイブス】第13回

※この記事はイシバシ楽器メールマガジン2017年5月号「イシバシ三銃士のスーパーギター列伝」からの転載記事です。最新版はイシバシ楽器のメールマガジンにてご覧いただけます。


ども、スペシャリスト和田です。

1952年にレスポール氏のシグネイチャーモデル Les Paul Standardが登場した二年後の1954年中期にレスポール氏の最上位機種モデルとして発表されたLes Paul Custom。
しかしながらレスポール氏の考えとは違う、従来のメイプルトップではなく、ソリッドマホガニーが採用されたモデルでした・・・

Gibson Les Paulを愛してやまないスペシャリスト和田が今回、1954 Les Paul Custom を語ります。

言わずとも知れた、Black Beauty初年度モデル。

ヘッドにGibsonロゴ、スプリットダイアモンドインレイが施され、レスポール氏の名前は、トラスロッドカバーに彫り込まれております。

今現在では、見慣れているこのモデルですが、自分のモデルとして、名前がトラスロッドカバーに移されるのは、どんな気分だったのでしょうか?
61年にレスポール氏との契約が切れモデルチェンジし、現在のSGスタイルとなりますが、もしかしたら、Les Paul Customが発表になった頃から、実はGibsonとの関係がギクシャクしてたかも知れませんね。

あっ 本題にもどります。

こちらの1954年Les Paul Customの最大の特徴でもある、エボニーカラー、スプリットダイアモンドインレイに、エボニーフィンガーボードにマザーオブパールを埋め込んだブロックインレイ、7層で作られたバインディング、ゴールドハードウェア、501VX(ワッフルバック)ペグ

そして、やはり外せないのが、フロントピックアップのP-480 (アルニコV)!!
リアピックアップP-90には搭載しております。

このP-480 ピックアップは、グレッチで採用されているディ・アルモンド製のダイナソニック シングルピックアップのサウンドに影響を受けたとも言われているピックアップです。
構造も似てるし、噂は間違いないかも・・・

1957年にはハムバッカー(P.A.F)が開発されており、製造中止になったことから、流通もなくなったのが原因なのでしょうか?
純正では発売されていないですしねぇ

現在では、高級ラインのフルアコ、スーパー400やL-5やバードランドにも搭載られている特別なピックアップでもあります。

1972~73年にかけて、Les Paul Custom 54の名前で再生産を果たすわけですが、なぜか1ピースマホガニーネックしかも17度に、マホガニーボディ、もちろんP-480 ピックアップ搭載です。

みなさんご存知だと思いますが、この頃のレスポールと言えば、3ピースのマホガニーネック14度、3ピースボディ(メイプルトップにマホガニー/薄板/マホガニー)が主流でした。
恐らくこのモデルの為に、生産ラインも変更したのではないでしょうか

でも、どうなんでしょうか、P-480 ピックアップってメイプルトップのレスポールとは相性が悪いのでしょうか?

私が個人的に思うのは、あくまでも推測ですよ・・・

1954年当時、レスポール氏の新たなモデルを作るにあたって、Les Paul Standardには、フロント、リアピックアップにはP-90が搭載されていたと考えると、少しサウンドを変えたいと思うわけです。

そこで、Gibsonはボディをソリッドマホガニーにして、開発されたP-480 ピックアップを搭載したんじゃないでしょうか。

今までのサウンドと違うものを作るために、Gibsonは正直、かなり攻め込んだと思いますよ。
レスポール氏の反対もあったと思いますし・・・

ボディはソリッドマホガニーですし、かなりJazz寄りなLes Paulではないでしょうか。
しかしながら、このモデルがないと、現在のLes Paul Customは存在しないわけですからねぇ。

あの、太く芯のあるサウンドを作り出すネックシェイプ、マホガニーの暖かいサウンド。
そしてなんと言っても、このルックス!! このカラー、Black Beauty!!

私も、Les Paul Custom Userとして、Gibson社とLes Paul氏に、感謝です。

最後に、自身の新しいモデル、Les Paul Customを嬉しそうに持つLes Paul氏。
反対をしたかもしれませんが、そのサウンドに魅了されたのかもしれませんねぇ。
真相はどうなんでしょうか?

でわでわ、このへんで終わりたいと思います。スペシャリスト和田がお送りいたしました。

これからもGibson愛を、皆さんにどんどん伝えていきたいと思います。

それでは皆さん私と一緒に、大いなるギターワールドの旅に出かけよう!

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