Gibson Custom True Historic を再考する。― 比較から見る、オリジナルブランドが追い求めた究極の Vintage Clone の神髄

こんにちは、イシバシ楽器 心斎橋店 湊 です!いよいよ3月、春はもうすぐそこですね!いかがお過ごしでしょうか。イシバシ心斎橋店 といえば Gibson Custom 関西最大規模の展示ブースThe Beauty of the Gibson Room。その心斎橋店に、この度イシバシ楽器各店より True Historic Les Paul が大量入荷致しました。そこで、現在は生産完了となった、究極のVintage Clone として話題をさらった True Historic シリーズをHistoric Collectionとの比較を交えながら見ていきたいと思います。

イシバシ楽器店の
>Gibson Custom True Historic、
木材選定オーダーHistoric Select
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左が2017年製HIstoric Collection 1959 Les Paul 右が2016年製 True Historic 1959 Les Paul。店頭展示では中々違いが分からないものの、並べてみると一目で違いがあることに気付く。どこが違うのか、それはサウンドにどういう影響を及ぼすのか?

まず Gibson Custom True Historic をおさらい

2015年から2017年まで製造されたGibson Custom True Historic は、年間での製作本数に上限を定めることで、製作工程の大幅な見直しを行い、ボディマテリアルのグレードも含め、かつてない次元のカスタムショップクオリティを追求。ギブソンカスタムのなかでも熟達した精鋭が製作を担っており、「真実のオリジナルヴィンテージ」に肉薄する数々のアップデートを実現した最も精巧なヒストリック・リイシューです。ディーラーオーダーHistoric Select や、2015年以降のCollecter’s Choiseに関してもTrue Historic と同スペックになっております。

True Historic の年間の生産本数もかなり少なく、以下の通り。

1959 Les Paul 800本 (Aged150本を含む)
1957 Les Paul Goldtop 300本 (Aged100本を含む)
1958 Les Paul 300本 (Aged50本を含む)
1960 Les Paul 200本 (Aged25本を含む)
1956 Les Paul Goldtop 200本
1957 Les Paul Custom 200本

以前の Historic Collection から変更点は大きく10点でした。

True Historic Plastics&Pickup cover
当時のオリジナル・パーツを揃え、シェイプ、サイズをデジタル・データ化、さらに全パーツをカットして、その断面から使われていた材質の成分構成から当時の製造工程までも分析し50年代のパーツを再現。

Double-Carved Top
CNCによるラフ・カービング⇒バウンド加工⇒再度、現存するビンテージ・レス・ポールから得た3Dスキャン・データに基づく精密なCNCカービング

Neck Carve
3Dスキャン・データに基づくCNCマシンのダブル・ステップ

Broken Peghead Edge, Smoother Edges throughout
手仕上げによる丹念なハンド・サンド作業を追加

Original Thinner Holy Peghead Veneer
これまでより薄い突板に変更

Complete Finish Overhaul
塗装のすべてのプロセスを見直すことで実現したビンテージ同様の薄い塗装により、ボディ鳴り、塗装のクオリティともに高めた。

Playability
手仕上げによるロールド・バインディング

Hide Glue Top Construction
ハイドグルー(ニカワ接着)を、ボディ・トップとバック部分にも採用。

New Multi-Step Set Up
組み込み後のファイナル・セットアップ・プロセスの見直し

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True Historic と Historic Collection ボディエンド厚さ 比較

Double-Carved Top に関しては、ボディエンドに向かって1.27mm薄くなっていくテーパー加工が施されています。この誤差の様な数値をスペック化するために、CNCルーターによるカービングを2回、しかも倍以上の時間をかけて行うのがダブルカービングです。ボディエンドに向かって薄くなっていく加工は、弦振動がボディエンドへ向かって広がり倍音となるのでボディ鳴りの向上が期待できますね。

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左が2017年製HIstoric Collection 1959 Les Paul 右が2016年製 True Historic 1959 Les Paul。並べて比較すると、True Historic の方がエンドに向けて薄くなっているのが分かる。トップのアーチに関して違いがあるため、実寸値よりもサイズ感に大きな違いを感じる。

True Historic と Historic Collection ボディ ライン 比較

さらに比較していくと、ボディの形状、ボディラインにも違いがあります。オリジナルの1959 Les Paul、ヴィンテージレスポールに関しては、諸説あるものの、型が3つあるといわれており、その後のハンドサンディングにより最大幅10mmほどの個体差があると言われております。実際にバースト本と呼ばれる書籍を色々見てみても、様々なシェイプがあるに気づきます。True Historic も Historic Collection も同じくオリジナル1959年製レスポールから3Dスキャニングされていますが、スキャンした個体は別の物という事になりますね。

今回比較しております True Historic と Historic Collection について実際にボディの縦と最大横幅を計測してみたところ、違いは無いようなのですが、カーブのライン取りが全く異なります。分かりやすい部分として、カッタウェイ部を比較してみます。True Historic の方が少し細めで、くびれの部分へ向かうカーブもよりスリムになっています。こういった違いから、縦横の寸法は同じでも全体的な体積は若干の違いが生まれそうです。

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True Historic の美しくも繊細な造形とサウンド

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左が2016年製 True Historic 1959 Les Paul、右が2017年製HIstoric Collection 1959 Les Paul 。左右入れ替えて比較しても、やはり印象は変わらない。こうして見てみると、繊細な印象のTrue Historic。ファットな鳴りのHIstoric Collectionと比較して好みの個体を選べる在庫量のイシバシ心斎橋でぜひ体感していただきたい。

上記の理由から、Historic Collection よりもかなり生鳴り、しかもボディ鳴りが向上したTrue Historic。店頭の試奏でも、レスポールというのはここまでブライトだったのか、と驚かれる事が多く、生産完了が惜しまれます。True Historic で使用していたボディ型に関しても現在は使用できない状況で再開も未定となっており、このスリムかつグラマラスな曲線美を持った True Historic Les Paul は店頭在庫をもって一旦終了となります。True Historic の木材選定オーダー品 Historic Select も含め、まだ店頭に在庫があるうちに是非触れて頂きたいと思います。ご来店、心よりお待ち申し上げております!

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