ギターアンプの“クラス”とは?
真空管を搭載したチューブ・アンプの種類として“クラスA”、“クラスA/B”という
言葉を聞いたことはありませんか?
学校や仕事の成績ならば、それはもちろんAが良いに決まっておりますが
ギターアンプはちょっと違うのです。
この、“クラス”(級)というのは音質のことではなく、音を増幅させるパワー管の動作の方法を言います。
まだギターアンプがそれほど世の中に広まっていない、その当時ではクラスAのギターアンプが
主流となっていました。
ギター雑誌などで見かける、ヴィンテージ・アンプのTweed Fender Champなどがそれに当ります。
クラスAの特徴として、入力される信号に関係なく常に真空管がフル可動の状態となっており
音の立ち上がり早く歪みずらく高音質での増幅が可能です。
しかし、フル可動が続くため、発熱と真空管の寿命が他と比べて短いとされており
おまけに出力があまり稼げないためその殆どが小型のアンプとなります。
もっと大きな出力が欲しい!ということで次に“クラスB”が登場致します。
このクラスBは真空管2本を交互に働かせる“プッシュプル回路”によって片方の真空管が
働いているとき、もう一方が休んだ状態となり真空管の寿命を延ばし、パワーも倍増され
高出力が可能となります。
しかし、真空管が交互に切り替わる時、若干の音のズレが生じ、立ち上がりが遅くなるため
ギターアンプには不向きです。
そこで誕生したのが“クラスA/B”です。
その名前のとおり、クラスAとクラスBの長所を混ぜ合わせることにより、音質を崩さずに
高出力を可能としギターの信号の強さに応じて真空管が働いたり休んだりする回路によって
音の立ち上がりもクラスBほどの遅れもなく、真空管の消耗具合も軽減できるようになったのです。
実際に今、目にする高出力のチューブ・アンプ、Marshall、Fender、Voxやモダンなハイゲインアンプの
Diezelなどは殆どこのクラスA/Bの回路を採用しております。
ちなみにプリ部がデジタルでパワー・アンプ部は真空管なんて言う、“ハイブリッド”な
ギターアンプは“クラスD”と言われ効率良く入力信号の増幅が可能でアンプ自体の発熱を
抑えることができるようになっております。
この中で一番馴染み深い音というのは“クラスA/B”のアンプではないかと思われます。
そうなるとクラスAのアンプが気になるところではありますが、気軽にビンテージアンプに手を
出すのはなかなか難しいところです。
そんな中、今月の26日に発売を予定しているYAMAHAの最新アンプ、THR100HDは
トランジスタアンプでありながらパワー管のモデリングに加えて、これまで書いておりました
“クラス”の切り替えスイッチを搭載しているのです!
これはなかなか興味深い製品かと思います!
チューブの再現度もかなり高くなっておりますので、是非この機会に“クラスA”のアンプサウンドも
お試しになってみてはいかがでしょうか!