Ibanez AZ2203N、ブレンダー機能の効果を実証実験!

Ibanezの新機軸であるAZシリーズの3シングルコイル搭載モデル・AZ2203Nにはオリジナルのブレンダー機能が搭載されています。

しかしこのブレンダー機能、Ibanezの公式解説では「フロントまたはリア・ピックアップのミックス具合が調節可能」とのことですが、内部的にはどうなってるの?実際どんな風に音が変わって、どんな時に使うんだろう?という疑問がわいてきました。

 

AZ2203Nのコントロール構成

AZ2203Nのコントロール部は5wayピックアップセレクター、マスターボリューム、マスタートーン、ブレンダーという構成になっています。

5wayピックアップセレクターは一般的なストラトキャスターと同じように、「フロント単体、フロントとミドル、ミドル単体、ミドルとリア、リア単体」という配線ですが、ブレンダーを使うことで「フロント単体、フロントとミドルのミックス」選択時にはリアを、「ミドルとリアのミックス、リア単体」選択時にはフロントを混ぜていくことができます。

ミドル単体の選択時にはブレンダーの効果はなく、あくまでミドル単体の音がします。

この混ぜていく、という表現がなんとも掴みづらいのですが、「セレクターで選択されているピックアップ:ブレンダーで足されるピックアップの比率」は、ブレンダーノブの数値読みで10の位置の時に“10:0”となり、ノブが1の位置の時に“6:4”くらいの状態になります。

より簡単に言うと、ブレンダーが10の位置の時は普通のシングルコイル3つのギターと同じ音、1の時に普通とは違う音がする、ということです。

概要を把握したところで、実際にブレンダー機能とピックアップセレクターを切り替えながら同じフレーズを弾き、アナライザーに通してみました。

 

AZ-N のために開発された”Fortuna”ピックアップの特徴は?

まずブレンダーを10の位置にして、フロントとリアのFortunaピックアップそれぞれ単体のキャラクターを確認してみます。

Fortunaピックアップは250Hz付近と4kHz付近にピークがあり、500~2kHzまでのミッドレンジがスクープされた、中抜け感のあるドンシャリ気味の味付けがされているように見えます。

「幅広く使えるクリーントーン」を追求したギターのピックアップデザインとしては手堅く、コンプレッサーの食いつきやコーラスなど空間系エフェクトのノリも良さそうな印象です。

 

ブレンダー機能の実証実験

次にリアピックアップ単体と、リア選択時にブレンダーを1の位置にして、フロントピックアップを混ぜて比較してみます。

フロントを混ぜると100~250Hz付近と4kHz付近が少し盛り上がり、1kHz付近の範囲が削れる形となりました。

今度は逆にフロントピックアップ単体と、フロント選択時にブレンダーを1の位置にして、リアピックアップを混ぜてみます。

リアを混ぜると100~250Hz付近が削られ、4kHzよりも上の6kHz付近が足される形となりました。

聴感上もですが、セレクターで選択されたピックアップをメインにもうひとつのピックアップの信号が足されていくため、ブレンダーを1の位置に回し切っても結果的に5:5ではなく6:4くらいの変化量になります。

今度はリアピックアップを選択し、ブレンダーを10の位置、5の位置、1の位置に動かしてみます。

アナライザーで見る限り、10の位置と5の位置であまり大きな変動はないように見えますが、聴感上も手応えも全体的に若干大人しくなったように感じました。

今度はフロントとミドルのミックスにリアを混ぜていったデータと、リアとミドルのミックスにフロントを混ぜていったデータを比較してみます。

ブレンダーを1の位置にした場合、理屈の上ではどちらも全ピックアップオンの状態なのでデータも同じになるはずですが、やはり選択したピックアップポジション+αという混ざり方のためか、概ね近い線形ではあるものの全く同じ結果とはなりませんでした。

 

シームレスな音色変化がブレンダー機能の利点

今回のテストを進めていく中で、ブレンダー機能の利点はスイッチによる段付きのあるオンオフが明確に分かる音色の変化ではなく、ブレンダーを回すことで音色がシームレスに自然な形で変わっていくリニアな変化を作れることだと感じました。

また、ピックアップ毎の高さセッティングもブレンダーでの音色変化を活かすポイントになってくるだろうという気づきもありました。

dyna-MIXスイッチングシステム搭載のAZモデルとはまた違った形でサウンドバリエーションを増やすことができるので、一曲の中でパートごとに細かく切り分けて音作りをしながらレコーディングを進めていくプレイヤーよりも、録音ボタンを押したら一曲を通してライブレコーディングしてしまうようなスタイルのプレイヤーには特に扱っていて楽しいギターになること間違いなしでしょう。

ブレンダー機能を具体的にどう使うか、という点に関しては実際にお手にとって試していただければと思います。

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