スペイン・アルバセテのThermion Pedalsより、プリアンプペダル3機種が入荷しました!
先日ご紹介した多機能ファズ「STONE AGE」に続き、スペイン・アルバセテのThermion Pedalsより、プリアンプペダル3機種が入荷しました。
アンプ修理を祖業とし、今ではオリジナルデザインの真空管アンプも数多く手掛けているThermionからリリースされたプリアンプペダルということで、俄然期待も高まります。
BREAKTHRUはVOX AC30のノーマルチャンネルとブライトチャンネルをイメージした2チャンネルプリアンプで、左側のフットスイッチでチャンネル切り替え、右側のフットスイッチでプリアンプバイパスを行います。
筐体上段にブライトチャンネルのBASS、TREBLE、GAINコントロール、下段にノーマルチャンネルのGAINコントロールが配置されており、TONE CUTとVOLUMEは両チャンネル共通となっています。
VOXタイプのプリアンプに期待される、クリアで鮮やかな鈴鳴りはもちろんのこと、ブライトチャンネルのTREBLEツマミを1:30位置以上に上げていくと足されてくるガリガリとしたバイト感まで再現されており、サウンドはまさしくAC30そのものといっていい仕上がり。
BREAKTHRU単体での使用に留まらず、様々なブースターやオーバードライブペダルと組み合わせても楽しめること間違いなしの逸品です。
HeartBreakerはモディファイされたJMPやJCM800などのハイゲインマーシャルサウンドを彷彿とさせるシングルチャンネルプリアンプ。
MASTERコントロールは、音量を上げるほどに中低域の分厚さや中高域のハリが増していくチューブアンプのパワー部の挙動を上手に再現しており、MIDDLEでもBASSでもない絶妙なポイントが膨れ上がってくる質感は本物の真空管が入っているのではないかと錯覚するほどのリアルさです。
HeartBreaker単体でのドライブ量はJMP以上Jubilee未満といったところでちょうどJCM800くらいの歪み感なので、Ibanez TS9やBOSS SD-1、ProCo RATなどの定番ペダルでプッシュしてあげると往年のギターヒーローたちのトーンにより一層近づくことができるかも?
マーシャル系プリアンプペダルは様々なメーカーからたくさんの製品がリリースされているレッドオーシャンではありますが、真空管入りペダルプリのように大きなスペースや大容量電源を必要とせず、3ノブタイプのペダルプリよりは明らかにサウンドメイクの幅が広い、非常に実用的な製品だと思います。
Gasolineは7つのツマミがギュッと詰まったシングルチャンネルプリアンプです。
ディーゼルではなくガソリン、ということですが、Diezel VH-4やHagenの3-4chのような塊感のあるゴリゴリのウルトラハイゲインサウンドが得られます。
DeepコントロールはBASSよりも更に下の帯域を盛り上げる効果があり、1:00位置以上に上げていくと明確にハリが増してきます。
PresenceコントロールはGainを高く保ったセッティングでも全体的な輪郭を明瞭にしてくれるので、Deep、Presenceともに率先して上げ気味で使うのが良さそうです。
90年代後半のオルタナティブメタルのようなドスの利いたヘヴィサウンドや、2000年代初期のニューメタルやメタルコアのような派手でエッジの立ったドンシャリサウンド、2010年以降のテクニカルメタルで多く聴ける中域にクセを持たせたサウンドまで、ハイゲインディストーションサウンドなら如何様にも作り出せる器用なペダルプリアンプに仕上がっています。
さて、ここまでの3機種に共通した機能として、ThermionオリジナルのVRMスイッチがあります。
VRMスイッチは各ペダルを接続する先に応じてサウンドのキャラクターを調整するスイッチで、Vintage、Raw、Modernの3モードが選択できます。
このうちRawモードは、ペダル内部のパワーアンプ回路に相当する部分をバイパスしたようなイメージで低域が削られ、高域が強調されたトーンになり、アンプのリターン端子やオーディオインターフェースのインプットなどに接続する際に扱いやすいように設定されています。
Vintage、Modernの両モードはアンプのインプット端子に接続する際の使用が推奨されており、それぞれ若干異なったサウンドキャラクターになるため、アンプ側のEQセッティングやキャビネットのトーンに合わせて、好みで選択することになるでしょう。
聴感上でも簡単に違いが分かる程度にはキャラクターは変わりますが、実際にどの辺りの帯域に効果があるのか。
今回は例として、BREAKTHRUのREDチャンネルを使用し、VRMスイッチのみを切り替え、同じフレーズを弾いてアナライザーに通してみました。
上からRaw、Vintage、Modernモードとなります。
効果の掛かっているポイントとしては、500Hz以下の低域と2kHz付近の高域でしょうか。
Rawモードでは50Hz以下や400Hz付近の低域が除かれ、高域は2kHz付近が明瞭に上がり、8kHz付近まで出ていますね。
Vintageモードは100Hz以下と2kHz以上の部分がなだらかにまとめられており、Modernモードでは2k-4kHz付近が少し持ち上がっています。
モード間で若干のレベル差はあるものの、VintageモードとModernモードについては、主に高域に掛かるプリセットEQのような感覚で使い分けることもできそうです。
また、Thermionのウェブサイト上では各機種に対応したIRファイル(24Bit、44.1kHzのWavデータ)も無料で公開されており、BREAKTHRUとHeartBreakerは5種、Gasolineについては8種のスピーカーモデルとアーティスト作成のIRセットが用意され、各スピーカー毎に異なるマイクで収録されたデータが入っています。
DAWでのレコーディングはもちろんのこと、Two Notes Torpedo CAB M+やTC Electronic ImpulseといったIRローダーと組み合わせたライン出力でもThermionサウンドを満喫できます。
一般的なIRデータとしてはなかなか珍しいFramusやGenz Benzなどが収録されているのも面白いところですね。
ブライトなクランチ、ファットなオーバードライブ、ヘヴィなディストーションと3機種揃ったThermion製ペダルプリアンプ。
アンプモデリングプラグインではどうしても物足りないという方にも、ラインレコーディングで使ったトーンをそのままライブで使いたいという方にも、ぜひお試しいただきたい現代仕様の逸品です。
Thermion Pedals / BREAKTHRU デュアルチャンネルプリアンプ/ドライブ 販売価格:¥ 27,500 (税込)
Thermion Pedals / HeartBreaker プリアンプ/サチュレーションブースター 販売価格:¥ 27,500 (税込)
Thermion Pedals / Gasoline ハイゲインドライブ/プリアンプ 販売価格:¥ 29,700 (税込)