種類、チューニング、代表的なメーカーは?リゾネーター特集

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今回はドブロ・ギターに代表されるリゾネーター・ギターを取り上げましょう。ブルーグラス楽器特集の「締め」であるとともに、ハワイアン・ファン、ブルース・ファンにも読んでいただきたいコーナーでもあります。



↑現行のエピフォン製ドブロ、ハウンドドッグのラウンド・ネック仕様。ウッドボディ、スパイダー・コーンとfホールをフィーチャー。

リゾネーター・ギターとは


リゾネーター・ギターはリゾフォニック・ギターとも呼ばれます。リゾネーター・ギターのボディにはアルミ製のコーンが備え付けられています。オーディオ・スピーカー同様、このコーンによって音を拡声させるしくみです。スピーカーのコーンは電気信号と磁石によるしくみで振動させますが、リゾネーター・ギターは直接弦で振動させます。
このようなしくみが考案された背景には、戦前のアメリカにおける空前のハワイアン・ブームがありました。リゾネーター・ギターはハワイアンのスティール・ギターとして誕生しました。膝の上に寝かせ、左手でトーン・バーを操って奏でるスティール・ギターはハワイアンの人気楽器でしたが、当初は一般的なアコースティック・ギターを流用していました。ところが、PAシステムもない時代です。一般的なアコースティック・ギターでは十分な音量を得ることができませんでした。間もなくネックを空洞にしたワイゼンボーン・タイプのスティール・ギターが登場しますが、これも満足いく音量ではありませんでした。次に登場したスティール・ギターがリゾネーター・ギターだったのです。最初のリゾネーター・ギターはナショナルから登場しました。リゾネーターのしくみはドピエラ兄弟(Dopyera Brothers)が考案しました。それまでのスティール・ギターと比較 すると音量は明らかに向上しました。間もなくドピエラ兄弟は独立し、自身のブランドを立ち上げます。それがドブロ(Dobro)です。DobroはDopyeraのDoとBrothersのBroをつなぎ合わせた名前なのです。このドブロがリゾネーター・ギターを代表するブランドとなり、ヤマハのエレクトーンが電子オルガンの代名詞となったようにドブロがリゾネーター・ギターの代名詞になったのです。

リゾネーター・ギターの種類


① ネック
リゾネーター・ギターは元々ハワイアン・ギターとしてスタートしました。横に寝かせて弾くハワイアン・スタイルの演奏では、ネックを左手で握る必要がないのでスクエア・ネックという断面が四角形をしたネックが採用されました。エレキ化されたスティール・ギターの登場後、スクエア・ネックのリゾネーター・ギターはハワイアンではあまり使われなくなりましたが、ブルーグラスの世界に受け継がれ現在に至っています。



↑スクエア・ネックのエピフォン製ドブロ、ハウンドドッグ・デラックスのネック裏面。角ばっているのがお分かりでしょう。ナットも高めです。
またブルースのスライド・ギターにおいてもリゾネーター・ギターが好まれるようになりますが、こちらは一般的なスパニッシュ・スタイルのギターと同じネックが採用されました。このネックは裏が丸いのでラウンド・ネックと呼びます。
② リゾネーター
リゾネーターのスタイルや個数にも種類があります。スタイルとしては、ナショナルの製品に見られるビスケット・コーン、ドブロの製品の多くに見られるスパイダー・コーンの二つに分けられます。ビスケット・コーンは幾分ダークで、スパイダー・コーンは明るいサウンドの印象があります。ナショナルがよりブルースマンに好まれるのはそのせいではないでしょうか。



↑現行のエピフォン製ドブロ、ハウンドドッグ・デラックスのリゾネーター部とサウンド・ホール。カバーに覆われて分かりづらいですが、スパイダー・コーン(蜘蛛の巣状のフレームの下に凹面状のコーンが装備されています)。丸い金網のついたサウンド・ホールはスクリーン・ホール

また大多数のリゾネーター・ギターは、シングル・コーンと呼ばれる一つのコーンを持つ構造ですが、ナショナルのトライコーンというモデル(及びそのレプリカ)は三つのコーンを持ちます。トライコーンはシングル・コーンと比較すると、一層のボリュームとサスティンがあります。



↑カバーの下に三つのコーンが装備されたナショナル・トライコンのスタイル1。ボディはブラス製。
③ ボディの材質
リゾネーター・ギターのボディには金属(メタル、ブラスなど)、木材の二種類があります。前者は硬質で野太さがあり、後者は温かみがあって明るい音色です。



↑現行のエピフォン製ドブロ、ハウンドドッグM-14。メタル・ボディとビスケット・コーンをフィーチャー。カバーのスリットが小さく分かりづらいですが、ビスケット・コーンは凸面状の形態をしています。

チューニング


① スクエア・ネック
ブルーグラスでは主に6弦からGBDGBDのオープンGチューニングが使用されます。市販のリゾネーター・ギター用の弦は、特筆されていない限りこのチューニングに合わせてゲージを組み合わせてあります。また、最近ではDADF#ADのオープンDも珍しくなくなってきました。
ハワイアンでは同じGチューニングでもタロパッチ(6弦からDGDGBD)に合わせることもあります。またC6thチューニング(6弦からCEGACE)も使われます。
上記以外では、ポコのラスティ・ヤングが使用するE7thチューニング(6弦からEDEG#BE)というものも知られています。
② ラウンド・ネック
レギュラーのチューニングで演奏するギタリストも少なくありませんが、やはりオープン・チューニングが真骨頂でしょう。オープンD(6弦からDADF#AD)、オープンG(6弦からDGDGBD:タロパッチと同じ)が二大オープン・チューニングとなっています。

代表的なメーカー


やはりナショナルとドブロが二大ブランドです。後者はギブソン傘下で現時点では安価なアジア製エピフォンのラインナップの中にありますが、入門者にありがたい存在となっています。
また近年ジェリー・ダグラスがその洗練されたセンスとテクニカルな演奏でリゾネーター・ギターに新境地を開いていますが、コンテンポラリーなスクエア・ネックの演奏スタイルにおいては、シングル・コーンでありながらサスティンとボリュームが出る製品が好まれるようになりました。R.Q.ジョーンズ、シアホーン、ビアードや所謂ルシア・メイドの製品も知られるようになっています。



↑近年人気の高いビアード。画像のモデルはジェリー・ダグラスのシグネチャー・モデルです。

Let's play the slide guitar!

この記事を書いた人

白井 英一郎
1960年生まれ。勤続30年以上。吉田拓郎に憧れ12歳でギターを始める。スティール・ギター、バンジョー、マンドリン、ウクレレ、三線も演奏するマルチ弦楽器奏者。ウエスト・コースト・ロックとマーティン・ドレッドノート、フェンダー・テレキャスター、リッケンバッカー12弦ギター、ワイゼンボーンをこよなく愛する。ライターとしても活躍中で、伝説のムック「丸ごと一冊ヤマハFG」にも執筆。

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