伝説のギターを現代に!Fender FSRで実現したMIJ 50s HS Telecasterとは
1974年のマディソンスクエアガーデンを彩ったテレキャスター
1974年11月、半世紀前のマディソンスクエアガーデンで『最後の』ステージに登場したギターは、一見オーソドックスなテレキャスターに見えたが、しかし見れば見るほどに異彩を放ち、また神秘に満ちた1本であった。
ブラックカラーのボディーにメイプルネックのテレキャスターだが、フロントにはGibsonロゴ入りハムバッカーが搭載されている(しかもロゴが上下逆向きであることから、リア用を搭載したと推測される)。
また、ヘッドを見れば、ペグ同士の隙間がほとんどなくなるほどの大きなワッシャーとGroverミルクボトルペグが共に存在感を放っている。
このギターで彼は、ナンバーワンを取った最新曲と、自身が書いた曲、そして終生の友が今でも歌い続けるナンバーの3曲を歌って、ステージを後にした。
音源や僅かな動画は残っているし、このテレキャスターも現存している。
Elton John & John Lennon – Whatever Gets You Thru The Night (Live)
謎に満ちたギター
しかし、多くの研究が進むアーティストシグネチャー・ギターたちと異なり、ことこのギターに関しては謎に満ちたギターであった。
裏通しの穴をふさぐ金属の板の上にブリッジの駒が乗り、弦は表通し(トップローダー)で張られている。裏通しの穴はギターに残されたままだ。
これはエスカッション付きのハムバッカーピックアップを乗せたことで、裏通しのままでは弦がピックアップに当たってしまわないよう、試行錯誤した結果ではないかと推測する。
当時のテレキャスターで裏通し / トップローダーを併用していたのは58年-59年頃、メイプルネックからロース指板ネックに変わる直前の時期の仕様である。
カモメ型のストリングガイドよりも後ろにヘッドロゴがあるのも50年代後半の仕様だ。
ワン・アンド・オンリーのギターの再現に挑んだモデルである。
このたび、イシバシ楽器限定モデルとして登場した”ISHIBASHI FSR MIJ 50s HS Telecaster Ash Body Grover Tuner Black”は、現代の国産スペックでワン・アンド・オンリーのギターの再現に挑んだモデルである。
50年代のテレキャスターで用いられたアッシュ材をボディーに使用し、ネックもCシェイプを採用、もちろん、21本のフレットはヴィンテージ・サイズで、ヘッドロゴはストリングガイドの上に位置している。
Groverペグは現代風に、305のミニサイズを搭載。ルックスを近づけつつもサイズ・ダウンしたことでヘッド落ちせず、ペグボタンが隣同士触れ合うことも無くスムーズにチューニング可能だ。
ピックアップを固定するネジとピックアップエスカッションが当たらないようにフロントピックアップが取り付けされているので、オリジナルでは僅かにフロントのハムバッカー・ピックアップが6弦側にズレている。
その点、MIJ 50s HS Telecasterではエスカッションに沿うようにピックガードをくり抜くことで、外観を保ちつつ、オリジナルでは難しかったであろうピックアップの高さ調整も可能になった。ギターを近くでご覧頂ければ、国産製造の造りの良さをより感じ取って頂けるだろう。また、裏通しで弦を張れるようになったことで、テンション感とアッシュ材のダイナミクスをギターの背から感じ取れるはずだ。
フロントハムバッカーのウォームでパワフルなサウンド、リアシングルのキレのあるテレキャスターらしいサウンドを兼ね備え、ステージで往年のナンバーから最新曲まで演奏し切った彼への敬意を込めてデザインしたこのモデルで、現代のプレイヤーにも多彩なジャンルを演奏してほしい。
店頭で試奏するときは、クリーン/ドライブのどちらもお試し頂くことを強くおすすめしたい。
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