今注目の80年代マーチンを追う!

心斎橋店の紅山です。

一括りにヴィンテージと言いましてもその定義はまちまちで、またブランドによっても一般的に認識されているヴィンテージとされる年代が違ったりします。

たとえばギブソンアコースティックギターであればJ-45などのラウンドショルダータイプが終焉を迎える1969年までをそう呼ぶのが通例となっています。

対してマーチンアコースティックギターでは1979年、ブルーケース時代の最終期までをヴィンテージとして憧れる方が多いのではないでしょうか。

D-28など、ローズウッドをサイド、バックに用いるギターは1969年までのブラジリアンローズウッド時代と、以降のインディアンローズウッド時代でも、全く異なるギターになります。

今回ご紹介するのはその更に次の世代、1980年代のD-28です。

 

Martin D-28 1987年製

 

基本的には70年代スペックを踏襲しつつマイナーチェンジがあります。

まずペグ。

70年代がGrover USAであるのに対してSchaller製のMartin刻印入りのものを使用しています。

ちなみに後年には日本のGOTOH製のSchallerタイプ、Martin刻印入りに変更となるのですが、両者の違いはトルク調整ネジがマイナスかプラスかで判断できます。

 

ピックガードはいわゆるマーチンクラックを誘発する塗り込み仕様から後付けでエッジの立ったブラックの物になります。

ナット、サドルの材質もミカルタから順次変更されてきます。

 

そして最大の特徴とも言える変更点が1986年頃から採用され出すアジャスタブル・トラスロッドの導入です。

それまでMartin社ではTバーロッド、エボニーロッド、スクエアロッドなど、様々な形状、材質を用いてきました。

それらは単にネック補強の意味合いにとどまらずその時々のサウンドメイクに非常に大きな影響を与えています。

わざわざ復刻させたモデルもマーチンをよりよく知る方に人気です。

他メーカでは既に導入されていたアジャスタブルロッドを満を持して導入したのがこの頃。

これに伴いネックグリップもスリムになり、全体の質量の変化に伴い音質の平均値も変わってきます。

これはペグの変更による重量差でも同様の事が言えます。

 

当時はアコースティックギターにとって大不況の時代だったことはよく語られる話です。

Martin社でもトップセールスを誇るD-28でさえ生産数の激減を余儀なくされます。

反面、80年代は良材を潤沢に用いて少数精鋭で製造した当たり個体が多いとも言われ、特に近年ヴィンテージをひととおり堪能した方から熱い視線を浴びているのがこの80s D-28です。

 

当時の日本の輸入代理店は東海楽器。

業務提携を行い自社ブランドHummingbird~Cat’s Eyesに活かしてきた話は有名です。

この個体はその東海楽器の保証書が残っており非常に貴重です。

このことから新品の段階で日本に輸入され、コンディションから見てもワンオーナーの元で現在まで過ごしてきた個体ではないかと想像できます。

 

ケースはもちろん当時のオリジナル・ブラックケース。

基本的にはブルーケースと同型です。

年式が浅い為か綺麗なコンディションのケースが多く感じます。

このケースもそうです。

 

次にヴィンテージの仲間入りをするのか否か?という狭間に今いる80s D-28。

まだ相場も通常の中古、という扱いですので実用的なプレイヤーズギターとしても狙い目な年式です。

ただ前述しましたように絶対数が少ないですので良個体に出会ったときはぜひお早目のご検討をおすすめします。

 

※こちらの商品は既に売却済みとなっております。

 

 

  

 

昨年末にフルモデルチェンジを果たしたD-28。

このインパクトはアジャスタブルロッドを導入した1980年代以来のビッグバンではないかと感じているのは私だけでしょうか。

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